かつてのスキー道具は種類が限られ、上達には技術を磨くことがなにより重要でした。しかし現在は、素材や設計の進化によって、あらゆる滑りに対応するモデルが数万の規模で登場しています。複雑化する構造や専門用語は難しく感じますが、自分がどんな場所で、どんな滑りをしたいかが決まると、必要な要素は自然と絞られます。進化を続けるギア選びで押さえておきたいポイントを、おさらいしていきましょう。
Point 1
どこを滑る?
「ゲレンデが溶けるほど恋したい~♪」と歌われた時代には、スキー場のコースをいかに上手く滑るかが中心でしたが、現在は山全体を遊ぶ方向へと移り変わっています。厳密にはフリーライドやフリースタイルなどさらに細かく分かれますが、まずは「整地メイン」か「オールマウンテン系」か、大きな方向性を決めると、その後の板選びがスムーズになります。

整備されたゲレンデで、ターンの精度やスピードを追求するカテゴリー。“切る”ターンを楽しむためのスキー

雪質や地形に縛られず、山全体を自由に楽しむカテゴリー。地形に沿ったり、新雪を“浮く”ターンを楽しむためのスキー
Point 2
どんな雪を滑る?
次に考えたいのが、“どんな雪を滑ることが多いか”。雪質によって、選ぶべき板の太さや形状が変わります。柔らかく沈み込むパウダーは、“波の大きい海”のようなもの。大きな船ほど安定するように、太い板ほど浮力を得やすくなります。反対に硬い圧雪バーンでは、細い板の方が素早い切り返しやシャープなターンが得意です。

Sidecut(サイドカット)=板のくびれ
スキー板を上から見ると、中央がくびれた形になっています。この“くびれ”によって板は自然にターンしようとします。
Waist Width(ウエスト幅)=板の最も細い部分の幅
人の身体の「スリーサイズ」のように表現される、スキー中央部の最も細い部分の幅。一般的に数値が小さいほどエッジの切り替えが速く、大きいほど浮力が高まります。
ウエスト幅から見た目安


Point 3
どんなフィーリングで滑る?
サイドカットが上から見た形状なのに対し、プロファイルはスキーを横から見た時の反り方です。浮力、グリップ、操作性やスピードなど、スキーの乗り味を大きく左右する要素です。オールマウンテンモデルの多くは、前後ロッカー+足元キャンバーを組み合わせたハイブリッド構造を採用しています。

Rocker(ロッカー)=反り上がり形状
ソリのように先端(または前後)が反り上がった形状。雪に引っかかりにくく、ターンの導入がしやすい。パウダーでは浮力を高め、深雪でも先端が沈みにくくなります。プレイフルな乗り味を好む人にオススメ。前方のみにロッカーを持つものはDirectional(ディレクショナル)、前後とも反り上がるものはTwin Tip(ツインチップ)と呼ばれます。

Camber(キャンバー)=アーチ形状
足元がアーチ状に持ち上がった伝統的な形状。ロイター板やトランポリンのように荷重を蓄え、反発力を生み出します。安定感や、圧雪バーンでのグリップ力も高めます。キレのあるスピーディーなターンを楽しめます。
Point 4
どんなリズムで滑る?

長い板は単純に重いだけでなく慣性も大きくなるためスピードを維持しやすく、大回り向きと思われがちですが、実際のターンサイズを左右するのはラディウスです。同じ長さの板でも、ラディウスによって乗り味やリズムは大きく変わります。
Radius(ラディウス)=回転半径
サイドカットから計算される、スキーが自然に描くターン弧の大きさ。数値が小さいほどクイックな小回り、大きいほどゆったりした大回りが得意になります。
R17-20m》ロングターン
R14-17m》オールラウンド
R12-14m》ショートターン
結局何を選べばいいの? 迷ったら専門スタッフに相談するのが一番。例えば、久しぶりにスキーを再開する“カムバックスキーヤー”なら、まずは扱いやすいオンピステ系がおすすめ。目安は男性で165cm前後、ウエスト幅70mm台、ラディウス11~13m程度。
ターンを極めたいなら

OGASAKA|TC-S
長さ目安:中央値165cm
海外で圧倒的人気“リゾートカービング”

Völkl|PEREGRINE78
長さ目安:中央値170cm
迷ったら万能型

SALOMON|ADDIKT
長さ目安:中央値170cm
パウダーに挑戦したいなら

VAN DEER-Red Bull Sports|FREERIDE98
長さ目安:中央値180cm
フリースタイルにゲレンデを遊びたい

FACTION|Prodigy 3
長さ目安:中央値178cm
身長+10cmと謳っていた時代があったけど……
その昔は技術や安定性をカバーするために板を長くするため、初級者でも身長+10cmというのが定説でした。いまはさまざまなテクノロジーもあって、短くても安定して滑れます。一般的に初級者は身長-10cmを選ぶことが、適正サイズと言われます。
ただ、スタイルや滑走レベルによって適切な長さは人それぞれ。店舗で会話を重ねるのが、一番早い解決策! ぜひお店で相談してみましょう。
