2025年11月、アルペン界の絶対王者マルセル・ヒルシャー率いる VAN DEER – Red Bull Sports が、オーストリアの Scheffau am Tennengebirge にヘッドクォーター・ファクトリー・フラッグシップストアを擁する新拠点「House of the Deers」をオープンさせた。 そのディテールに迫ってみよう。

2025年11月、VAN DEER-Red Bull Sports は本社兼スキーファクトリーを構える新施設「House of Deers」の竣工を公表。公式サイト上で「16ヵ月で世界最先端のスキーファクトリーと旗艦ストアを実現した」と伝えた。これまでの生産拠点から移転し、年間最大で 30,000 足/ペアのスキー生産能力を持つ施設として世界にお披露目された。
建物の基調カラーにはブランドのイメージカラーである深いグリーンが採用され、周囲の美しい自然環境と調和したモダンなデザインが印象的だ。敷地面積は 6,900㎡ を超える大きさで、かつての砂利採掘場跡地を再開発、サスティナブルの観点でも話題になっている。


新本社の完成は、VAN DEER-Red Bull Sports にとって新しい時代の幕開けだとヒルシャーは語る。
「僕たちは、製品の品質において、レーサーと一般スキーヤーを区別しません。アドバイスもチューンナップも、ブーツフィッティングも、すべての人がワールドカップ選手と同じプロセスを受けるのです」

その中心となるのが、12月1日にシーズン開幕に合わせてオープンしたヘッドクォーターに併設された“フラッグシップストア”だ。ここはいわば“ショーキッチン”のような空間で、スキー製造工程を直接見ることができる。

「House of the Deers」は、誰でも利用できるショップとチューニングサービスを兼ね備えた空間 だ。ワールドカップの現場を知る経験豊富なスペシャリストスタッフたちが対応。最適なブーツ選びとフィッティング調節をし、ブーツやスキーを一人ひとりのために仕上げていく。
一人ひとりのゲストとカウンセリングをし、滑りのタイプに合わせた最適なギア選びから、足の形状や滑走スタイルに合わせたブーツフィッティングまで、あらゆる工程が“本物仕様”。スキーは、ワールドカップを戦うアスリートのために仕上げられる時と同じ手順で準備される。ビンディング設定、エッジチューニング、ソールストラクチャー、ワックスフィニッシュまで、全過程が施される。
訪れる人々は プロと同じ品質のケア を受けることができるのだ。
オフィスフロアは開放的な吹き抜けを中心に、“出会いと交流”を重視した空間が広がる。自然を望むデスク、オープンキッチン、コミュニケーションゾーン、テラス──すべてが“交流を生むこと”を前提にデザインされている。

そして、2階にあるアスリートのための空間「Athletes Room」には、ハードな雪上トレーニング後に必要な設備が整う。バイクエルゴメーター、フィジオスペース、アイスバス、シャワー。トレーニングエリアとなるスノーリゾートには1時間以内でアクセスできる立地も魅力だ。ヒルシャーとチームアスリートが日々行き交う“リアルな拠点”として機能している。



「このブランドの立ち上げ期のアスリートであることを誇りに思います。着工からここまで短期間でこんな施設ができたのは、本当にクールです」とチームアスリートたちはコメントしている。
チームには、クリストファーセン、ハウガン、ヴェルドゥ、ジニス、マックス・フランツ、アックスワルツ、アレイシ・アウベルトら、さらにはウェリンガーやザイツらジャンプ勢、ノルディック複合のガイガーも名を連ねる。そして“Racing Captain”として、ヒルシャー自身も1月のワールドカップに特別参戦する予定だ。
今季、アルペン種目は11月のゾルデン開幕戦を皮切りに、すでに五輪シーズンが始まっている。ヒルシャー自身も、ケガからの復帰を経て、VAN DEER-Red Bull Sportsチームの“Racing Captain”として、1月に再びワールドカップに参戦する意思を示している。
この冬は、VAN DEER-Red Bull Sports にとってブランド初の“オリンピックイヤー”。
「Deers」たちがどのような活躍を見せるのか、そしてオリンピックヒストリーに初めてVAN DEER-Red Bull Sportsの名が刻まれる瞬間が来るのか。舞台は2月のイタリア・コルティナ。ぜひ追いかけよう。